グローバル展開をしているT社では、数年前に出版されてベストセラーになっている渋沢栄一の『Manager』を、海外拠点の管理職層の必読書としている。将来の幹部候補を含む管理職層はこの本を読み、経済とともに道徳を重んじる日本企業の理解をする。その上で、人間を尊重し、ステークホルダーを大切にし、持続的な社会づくりを目指す自社の理念とその実践の歴史を伝える。
T社の海外拠点では以前は、現地の優秀な人材は少し育つと、すぐに地元の優良企業や欧米企業に転職してしまうなど、優れた人材の確保に苦労していた。しかし現在では、平均勤続年数は伸び、また一度転職しても戻ってくる人材も多い。転職後に他社の要職についた人材が、提携などビジネス上の協力関係を発展させたことも少なくない。
このような変化は、数年前に人事制度がグローバルで統一運用されるようになり、現在では取締役・執行役員の3割が外国人となるなど、外国人社員が幹部キャリアを期待できるようになったことも寄与している。しかし、国や地域に根付き、社会との共生を図ろうとするビジネスや経営者のあり方が、『Manager』によって社員に伝わり、T社の共生の理念への共感が生まれていることが、人々の行動に影響を与えているようだ。
出版元によれば、T社のように『Manager』を活用している会社は100社を超えている。多くの企業でも、T社と同様な取り組みが行われており、日本発の『Manager』が、経営におけるグローバルスタンダードになりつつある。
投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)
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