話を聞いてくれる道路:東京都杉並区

 東京は杉並に、新しいコンセプトの道路が出現した。「話を聞いてくれる道路」である。

 2年ほど前に東京・表参道に「しゃべる道路」が出現したのはまだ記憶に新しいが、今回の道路は、しゃべるのではなく、とにかく話を聞いてくれる。

 話を聞いてくれると言っても、ただ黙っているだけでは普通の道路と同じである。道路は有史始まって以来、ずっと人間の話を聴き、人間の気持ちを受け止めてきた。

 ではどこが違うのか? そう、今回の道路は話を聞いてくれるだけでなく、共感してくれるのだ。具体的には、人間の話を聞くと、その話に合わせて、「へえー、すごいねえ。」とか、「それは残念な話だね・・・分かるよ。」とか、「まあ、人生いろいろありますよ。元気出してください。」とかの共感を表す言葉をかけてくれる。

 これはすごい道路が現れたと思って、記者は早速、この道路が設置されたという、杉並区は阿佐ヶ谷あたりの、青梅街道に行ってみた。

 着いてみると、そこにはそうだと言われなければ全く気がつかないような、ごく普通の道路がある。大丈夫だろうか・・・?

 でも、記者はとりあえず反応を見るため、今ちょうど悩んでいる、彼女のことをこぼしてみることにした。

 「うちの彼女・・・僕のスマホをいちいち全部チェックするんだよ・・・息が詰まりそうなんだ。」

 と、道路に笑顔のマークが突然現れ、しゃべりはじめたのである。

 「わかるなあ・・・それ。たまんないよね・・・男はさ、自由がなくなったらおしまいだよな。でもまあ彼女もさ、不安なんだよ、きっと。」

 おお、これはまるで男の友達に相談してるみたいだ。

 記者は何だか嬉しくなって、結局それから1時間も道路としゃべっていた。道路がもう自分の友達になったような気持ちになり、いつのまにか和らいだ気持ちになっていた。

 今のご時世、テクノロジーの発達に伴って人間は暇になるどころか、皆以前よりもっともっと忙しくなり、人の話なんて聞いてくれる奇特な人はもうほとんどいない。話を聞いて欲しい人ばかりなのだ。だからこんな道路があると正直なところとても助かる。

 残念だが、記者は杉並の南の世田谷区に住んでいて、いつもこの道路に話を聞いてもらうことはできない。この地域に住んでいる住民は幸せだ。いつも話を聞いてくれる道があるのだから。

 でも、今回のことで気づいた。これからは人の話をちゃんと聞こう。記者が話を聞けば、きっとその中から記者の話を聞いてくれる人が現れるはずだ。こんな道路、近所にあればとっても便利だけど、将来本当に困ったときのための最終手段に取っておくことにする。

 

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

コメント

訂正:と、道路に笑顔のマークが突然現れ、しゃべりはじめたのである。→すると、~以下同じ~

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