2010年後半から日本は完全制御型植物工場で生産される「管理型野菜」で世界の生鮮野菜市場をリードしてきた。その秘密は味、色、形、サイズなどが安定した品質で、価格も手ごろな生鮮野菜を季節に関係なく生産し、各国の市場に供給してきたからだ。
海外の消費者からは「さすがは、20世紀の後半に品質で世界の自動車市場を席巻したものづくり大国、日本だけのことはある」と好評を得てき
た。
しかし、2020年あたりから、風向きが変わり始めた。それは、行過ぎた野菜の工業化に対するフラストレーションだ。日本管理型野菜工業会の調査によると、消費者の多くは価格や品質に満足しながらも、「均質さ」に不満を持ち始めているとの結果が出ている。つまり、昔の野菜は季節やその年の天候などで味がばらつき、色やサイズもバラバラだった。そんなバラツキに季節や自然の営みを感じていたが、管理野菜はいつ食べても同じ味、同じ色、同じサイズであり、不自然だというのである。
こうした調査結果に対し、日本管理型野菜工業会の姉妹団体である全日本自動車工業会は「かつて、日本車の品質は良いが、それぞれのクルマに個性がなく、バッジを外すとどこのメーカーのクルマなのか分からないと言われた。そうして日本の自動車メーカーは、少々、乗りにくかろうが、故障しようが乗って楽しい個性のあるクルマを作るべきだと思い知らされた。こうした歴史を学ぶべきだ」と提言した。
こうした提言を受け、日本管理野菜工業会では、野菜生産の制御システムを改良し、味や色、形、サイズなどを人為的にばらつかせ、各地の土の匂いなども付け、場合によっては虫食いや病気にさせることも可能な生産プログラムを開発したが、結果的には伝統的な畑で栽培された野菜には敵わないとの結論に至った。 そのため、管理型野菜各社は既存の植物工場の敷地内に野菜畑を設置し、並行生産(栽培)する準備を進めている。
投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)
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