全ての刺身の提供禁止へ:厚労省

 厚生労働省は21日、食中毒を防止するため、飲食店が刺身を提供することを法的に禁止する方針を決めた。6月にも施行し、小売店が生食用として販売することも禁じる。

 厚労省の薬事・食品衛生審議会の部会が同日、刺身の提供を禁止すべきだとする見解をまとめたため、今回の方針が決定された。厚労省は近く内閣府の食品安全委員会に諮問。答申を受け、食品衛生法の規格基準に提供・販売を禁止する項目を盛り込む運びとなった。違反すれば「2年以下の懲役か200万円以下の罰金」となる。

 昨年、某県の飲食店で提供されたマグロの刺身に含まれていた腸炎ビブリオ菌によって10人が重症の食中毒となった事件が起きた。現状では加熱殺菌、すなわち刺身ではなく煮魚や焼き魚として提供するしか方策はないとされている。

 厚労省では、2011年に生食用牛肉の提供基準を厳格化、更に、生の牛レバーについては2012年に飲食店での提供および小売を禁止し、更に2014年に生ガキについて同様の規制を行なっていんた。今回の措置はこの「生」禁止の流れを受け、ついに日本の食文化である「刺身」全般についても規制に及んだものだと専門家は指摘する。

 提供禁止を避けようと漁業関係団体は東京東海大などに依頼、刺身の食中毒防止策を探る実験をしていたが、これまでに加熱殺菌以外の有効な対策は見つからなかった。

 20日の会合で大山田部会長(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部長)は、「国民の健康と安全保護の観点から刺身は全て禁止すべきだ」と述べた。

 これまで、レバ刺や生牡蠣についての全面禁止などについて、そこまで厳格に規制すべきなのかという批判があったが、今回は日本の食文化の中核をなす刺身についてまで禁止するという事態になり、大きな波紋を呼びそうだ。

 食品評論家の坪田しげる氏は、「一件でも問題があったらすべてを禁止するというなら、もう何も食べられない。また、刺身は日本の文化だ。これを否定してしまうのはアイデンティティの根源につながる問題。余計なお世話な規制だ。この際、生牡蠣、レバ刺しも含めて再び規制緩和になるよう辛抱強く主張していくほかない。」と述べている。

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

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