2020年から昨年までに本社を沖縄県に移転した企業は大小合わせて7832社にのぼることが分かった。これは2020年に施行された「企業本社地方分散化促進法」に基づき沖縄県が打ち出した企業本社誘致策が功を奏した結果と見られている。
同法は企業本社が大都市(特に東京)に過度に集中し、一方で地方都市の活力が失われるというアンバランスを是正するために制定されたものである。
この法の制定を受け、沖縄県では積極的な誘致策で企業にアピールした。
もちろん、各地方都市とも、同法を背景に特別減税・免税などで企業誘致を進めているが、沖縄県は2015年から返還が進んだ米軍基地の跡地を有効利用した施策でリードしている。
具体的には返還された広大で頑丈な滑走路上にメガソーラーを設置し、隣接地に建設したオフィスエリアに送電する。もちろん、こうしたオフィスを使用する企業に対し、30年間のオフィスの無償貸与や電気代の割引などで優遇する。
また、本社の移転に伴い転居する社員のためには沖縄ならではの「かりゆし」の制服を企業ごとにデザインし提供する。住居についても築年数が多いほど補助が大きくなる地元住宅の借用・購入システムなども用意している。また、沖縄料理や沖縄の音楽、沖縄の農業などを体験するためのサポートも行い、沖縄にどっぷりとつかることができるように配慮している。
こうした沖縄県の優遇策を受けて本社移転を推進した、ある食品メーカーの経営企画部の担当者は「これまでのような大都市のゴチャゴチャした環境と違って、公私ともに沖縄のゆったりとした空間の中にいると、本当の『食』を考え、感じることができる。また、東京などと違って海のすぐ向こうにある中国、東南アジア、インドなどへの距離感が縮まった」と語っている。
もちろん、本社を移転する企業に対しては、優遇策だけでなく、勤務する社員の人数、地元への波及効果、企業の経営健全性や発展性なども求められ、飴とムチの両面を見せながら誘致している。
投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)
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