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デジタル世界と、アナログ世界の融合が始まる

 紀元前3300年前に文字がメソポタミアのシュメール文明を築いたシュメール人によって生まれてから5300年ほどが経過した。
 
 最初は単なる絵文字だった文字がくさび型文字による、文字体系と呼べるようなものになり、人類の生活を大きく変化させ、そして更には精神構造を変化させていったのは皆さんご案内のとおりだ。

 次の展開は、7世紀ころに中国で行われていたと言われる、木版印刷、及び15世紀のグーテンベルクによる活版印刷。この大発明により人間は、自分以外の多くの人々に、時間と空間を超えて自分の意思、感情、意見などの脳内情報を伝達できるようになった。このことが再び人類の生活と精神構造に、革命的な変化をもたらしたのである。

 そして、コンピュータ言語を用いたコンピュータが登場する。この、デジタルという新しい概念による計算機は、アメリカで1937年に、ジョン・ビンセント・アタナソフとクリフォード・E・ベリーによって開発されたアタナソフ&ベリー・コンピュータ、第二次大戦中にイギリスのアラン・チューリングによってドイツの有名な暗号「エニグマ」解読のために作られたボンベ、アメリカのジョン・モークリーとジョン・エッカートによる弾道計算向けに作られたENIAC(1946年公開)などの、天才的技術者たちの頭脳の所産として生まれ、グーテンベルク以来500年ぶりに、新たな言語と記号による人類の物質及び精神文明の革命的変容をもたらし、更にコンピュータの延長線上に生れたインターネットの出現によってその変容を加速させることになったのは説明するまでもない。

 さて、従来アナログ情報のみの世界に生きていた人類が、コンピュータ時代からはデジタル情報を扱うようになったわけだが、現在ではまだこのアナログな世界と、デジタルな世界は分断されている。その証拠に、現在の世界では、デジタル世界を堪能する人類がいる一方で、アナログな世界にとどまり、ひたすらデジタルを拒否する人々に二分されているのである。紙の本か、電子書籍かの二者択一を迫られている日常を想起するばもっとわかり易いかもしれない。

 この、アナログ世界とデジタル世界はそれぞれ、リアル世界と、ヴァーチャル世界と言い換えることもできる。

 こんな、アナログ世界とデジタル世界、あるいはリアルとヴァーチャルの間の深い溝、デバイドが生まれている状況の中で、次の展開を予想するのはある意味簡単である。次はこの、2つの分断された世界を接続する動きが起きてくる。アナログでリアルな書物にデジタルヴァーチャル情報が埋め込まれ、リアル世界の標識にデジタル情報が埋め込まれて行くことになる。

 このような文脈の中で、日本において数年前に発明された、メッセージコードの、アナログ世界とデジタル世界を融合させる機能は注目すべきものがある。発表当初はQRコード、あるいはその他のデザインコードと類似のものであると誤解されてはいたものの、徐々にそれが、コンピュータ言語によって作動するコンピュータにだけ理解できるQRコード等のコード体系にはない、「人間にも、コンピュータにも認識」できて、アナログ世界とデジタル世界を融合するというこれまでに全くなかった特質を有することが、むしろITリタラシーが高い技術者ではなく、メッセージコードの使用されているカレンダーや、雑誌などを楽しんでいる普通の人々によって理解されるようになってきている。

 メッセージコードだけではない。アナログとデジタルの分断を低コストで埋めることができる技術は全て今後要注目である。

 

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

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