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自殺予防に短期年金の導入

 政府与党は年金制度を改正し、勤労者は強制的に、新たに設定した短期年金に加入するという法案を提出した。
 従来の公的年金は、やや簡略化すると、20才以上60才未満の勤労者が強制的に加入し、25年以上年金を保険として納めた者が65才以降、亡くなるまで給付される。こうした従来の年金に加えて、短期年金を設定するという。短期年金とは、従来の公的年金の約半額を、加入時から65才時までのちょうど中間の年齢になるまで納め、それ以降はその金額+αを65才まで受給されるというものだ。たとえば、25才で短期年金に加入した人は、45才まで20年間、短期年金を納め、45才から65才まで20年間、給付を受ける。また、従来の年金とは異なり、本人が亡くなった際に遺族には一切、支払われない。すなわち、受給完了時までに亡くなったら死に損となる。
 この短期年金は、わが国の近年の自殺率の高さを懸念して、受給を完了する65才までは生き続けるようにとの配慮からくるものだという。それに加えて、年金という制度を従来よりもより若い世代から実感してもらう意義もあるという。特に中年の、子育てでお金がかかる世代により手厚い給付をし、代わりに独り者の多い若年者は将来のために貯金するという意味もあるようだ。我が国で従来から特徴的であった年功序列の給与体系が、グローバリズムの影響で近年、崩れてきたことに対抗するともいえる。
 が、野党からは、複雑な年金制度をさらに複雑にするとの批判の声が挙がっている。確かに、現在の年金制度は3階建てであり、公的年金に加えて企業年金などの私的年金(3階部分)があり、公的年金も1階部分に相当する国民年金(基礎年金)と、厚生年金や共済といった2階部分がある。この法案はさらに、0.5階部分として短期年金を設定するというものだ。年金一本化に向けた流れに逆行するという意見は妥当であり、議論を呼びそうだ。

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

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