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都市封鎖中と信じ30年山奥に... 夫婦を保護 米

30年前に全世界を震撼させたCOVID-19(新型コロナウイルス)の大流行によるロックダウン(都市封鎖)が現在でも続いていると信じ、西部アイダホ州の山奥で二人きりで自給自足の生活を続けていた夫婦が26日、州警察によって保護された。

州政府の発表によれば、保護されたのは東部ペンシルバニア州出身の夫婦、夫のグッド・ブリッジさん(57)と妻のサラ・ブリッジさん(56)。ブリッジ夫妻は2019年秋に結婚し、北東部マサチューセッツ州のボストン近郊に住んでいた2020年3月、ロックダウンから逃れるためにロックダウンの開始直前にアイダホ州最大の都市ボイシから北に車で7時間ほど離れた、カナダとの国境近くのロッキー山脈の山奥に移住した。食料はジャガイモや大豆、小麦などを自ら栽培したり、オオカミやイノシシを狩ったりして自給自足し、冬の寒さを凌ぐために地下に穴を掘りその中で夜を過ごした。人里離れた場所でありほとんど気づかれることはなく、極稀に人が通っても完全に無視した。パンデミックの情報を見ると不安になることからテレビもラジオもインターネットもない環境で過ごしていたという。その間、COVID-19に関連する規制が解除されても「いまだCOVID-19は感染爆発を続けており、都市ではロックダウンが続いている」と30年間信じ続けてきた。

そんなブリッジ夫妻に変化が訪れたのは今年2月下旬。記録的な大雪で住みかとしていた穴が雪で完全に埋まってしまい入れなくなった。雪で「かまくら」を作ることで凌いだが、それも雪が積もるにつれて毎日のように作り直さなければならず、夫妻はここでの暮らしは不可能と判断し、人目に付かないよう山を伝って温暖な南部に引っ越すことを決意する。しかし山に登ろうとしても積雪のために不可能となり、万事休すの状態になった。その上冬季のために備蓄していた食料が何者かによって盗まれ、食料不足にも悩まされ、体重が大きく減少した。そんな中で3月14日、別の遭難者の救助のために通りかかった警察の救助隊員に声を掛けられた。救助隊員は防寒のために目出し帽を被っていたことから、夫婦はやはり現在でもCOVID-19は続いているものと信じ、ソーシャルディスタンスを保った上で現在の窮状と心境を率直に救助隊員に話したところ、「分かりました。相談します」との返答があった。

その後州警察では議論が繰り返された。夫妻は現在でもCOVID-19が続いていると信じていることから、可能な限りの感染対策をしない限り感染を恐れて救助を拒否する恐れがあると判断。また、3月14日の段階ではかなり体が弱っていたことから、保護後に治療を要する可能性があることを踏まえ、防護服を着用し救急車で救助に向かうことを決断。しかし、最高クラスの防護服の調達に時間がかかり、3月24日朝に救助隊はボイシを出発した。しかし、雪の影響により道路が寸断されていたため、25日22時過ぎにようやく救助隊は夫妻の下に到着。夫妻は就寝中だったことから、翌朝を待つこととした。26日午前6時頃、夫妻が起床したところで保護した。防護服を着用した救助隊はまず夫妻の健康状態を確認し、栄養失調の状態に陥っていると考えられたことから病院に搬送することを決定。搬送中、担当者はスマートフォンで2022年のCOVID-19規制解除時の報道記事を見せ、COVID-19が既に収束していることを伝えた。それでも夫妻は疑ったため、その後にコロナ前と同じ形で行われたイベントの映像を見せるなどの行為も行った。また、夫妻の保護後の生活資金の寄付が約2000ドル(日本円にして25万円ほど)集まっていたため、その資金も夫妻に渡した。午前9時前に病院に到着し、輸液治療を経て翌日に退院。特別な事情を考慮し、治療費は全て救助隊が負担した。夫妻は病院の外でマスクを着けずに歩いている人々を見て、ようやくCOVID-19の収束を理解したという。

州政府は28日、夫妻に対しボイシ市内の公営住宅への入居を許可した。夫妻は今後、ボイシ市内で求職活動を行うという。

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

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