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自殺防止にトンチン年金の導入へ

 ここ十数年ほぼずっと、日本一自殺率が高い秋田県では、知事の提案により、来年度から65歳未満の成人の県民に、10年単位のトンチン年金の強制加入を導入すると発表した。トンチン年金とは、大勢の人たちで少しずつ出し合ったお金で基金を作り、それによって生じた運用益を、満期の際に生きている人たちだけで山分けしていくという年金制度のことを指す。これにより、満期までに死ぬと「死に損」となり、自殺防止につながるとの考えだ。

 同制度は強制加入であるため、同年金の払い込み額は月額3千円程度の小額とする。それでも、10年で一人当たり36万円の払い込みになる。同制度では、年齢や性別などが同じ100人で構成されるグループに割り当てられ、払い込み金は同じグループ内で山分けされることになる。同じグループの人の名前は事前に明かされないため、見知らぬ誰かに割り振られる「死に損金」となり、ますます「死に損度」が高まることになる。

 上記で、同制度を「強制加入」と述べたが、すでに不治の病に侵されている人など、例外規定はある。ただし、県外や外国に引っ越した場合でも、加入時に秋田県民である場合には原則、10年間の制度は継続される。例えば、10年間のうちに癌に侵されたと判明した人が制度から外されることを画策することを防ぐためだ。

 もう説明不要だが、例えば同じグループ内の100人中の50人が死んだ場合には、36万円の払い込み金に対して倍額の72万円が支給されることになる。なお、死亡原因は自殺だろうが病死だろうが事故だろうが問わないことにされる。これにより、自殺以外なら戻ってくる「死に損金」を取り返そうとして自殺をあえて遺族が事故に見せかけるようなことも防止できる。また、禁煙などで病気を予防しようと心がける人が増えることも期待され、平均寿命の増加につながることが期待される。

 秋田県では、この実験の成否を10年後に判定することで、同制度を恒久的に続けていくかどうか検討するという。すなわち、今後、10年後が近くなるにつれて自殺率が減少し、10年を過ぎると自殺率が増加したとすると、「死に損金」の多寡が自殺予防に有効となり本制度の効果が高いと判定され、恒久的に本制度を導入して、掛け金も増やすことになるだろう。

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

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