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神社仏閣の浄財・その後が分かるシステム

 一般財団法人全日本ICタグ普及研究所は新興福寺と協力し、中金堂の瓦にICタグを埋め込む「マイ・瓦・エタニティ」システムを発表した。
 再建中の金堂の落慶は2036年の予定だが、完成前から噂を聞きつけた他の神社仏閣からの問い合わせも相次いでいるという。

 新興福寺では再建勧進のお願いをしている。瓦や木材などが中心だが、特に瓦は人気があるという。屋根を葺いたときに裏側にあたる面に好きな言葉を記入しておくことができ、「記念になっていい」と若いカップルにも好評。
 しかし膨大な数の瓦のため「自分の瓦が屋根のどの部分なのか全く分からなくなってしまう」という声もあった。

 ICタグ普及研究所所長の物判明子(ものわかりめいこ)氏もそう思った参拝客の一人。「瓦に無病息災と毛筆で書きながら、これはどこに置かれるのかなあ、知りたいなあと思いました。そこで電子タグの利用を新興福寺に申し出たところ、快諾していただけました」と笑顔で語る。
 すべての瓦にICタグをつけておく。その番号を控え、メールアドレスを登録しておき、専用サイトで番号を入れると現在の瓦の様子がメールされてくる。つまり、いつでもどこでも自分の瓦の様子を確認することができるようになる。

 瓦を葺く工程は最後の段階のため、2035年頃までは瓦は倉庫で保管されている。工程段階によりメールで送られてくるメッセージは以下のようなものになるという。

「倉庫で保管中です。北倉庫4Bの棚上から2番目左から4つ目です」
「○月○日に倉庫を出る予定です」
「雨のため工程が遅れ、倉庫を出る日が2日後になりました」
「○月○日に倉庫を出ました」
「設置エリアは東側上部Nエリアと決まりました」
「○月○日に設置予定です」
「明日設置されます」
「本日○月○日(大安)に無事設置されました」
「東側上部に設置されています」
「外気温は○度、あなたの瓦の現在温度は○度です」
「雨のため三分の一が濡れています」
「台風に耐えています」

 シークレットメッセージも用意されており、おみくじのように楽しむこともできる予定だという。

 さらに専用の画面付きリーダーが新興福寺に設置され、参拝客が完成後の中金堂前で番号を入力して建物をサーチすると、「あなたの瓦の位置」がリーダー画面に映し出される仕組みになっている。
 屋根のエリアは細かく細分化され、東上部A、西下部Bなど、瓦10枚程度を1エリアとして設置した場所がかなり特定できるという。

 「浄財も集まりにくい時代になりましたが、マイ瓦のその後がはっきり分かればお寺をより信じてもらえると考え、ICタグ導入に踏み切りました。
万一作業中に割れた場合は修復の工程もお知らせしますし、どなたの、どの瓦というのがはっきりしていますので、連絡をとって瓦の書き直しもしていただけるようになりました。
 平瓦は文字が書きやすくて人気です。1,000円ですから気軽な記念としていかがでしょうか。さらに、番号さえ伝えておけば何百年後のあなたの子孫が新興福寺に来ても「あそこにご先祖様の瓦がある」と分かるのです。壮大なロマンを感じませんか。まさにエタニティ。人間何も残せないということなどないのです。
 棟木材にももちろんタグを埋め込みます。ちなみにこちらは100,000円です。ぜひよろしくお願いいたします」と新興福寺広報ではアピールしている。

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

コメント

クラウドファンディングにも結びつく、拡張可能性のある、アイデアに満ちた秀逸な記事だと思います。

オラクル (日付:

実際奈良で奉納したとき、なんか釈然としなかったんですよね…

久野香奈 (日付:

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