東北地方太平洋沖地震から、今日で1年半になる。まだ被災地は立ち直っていない。特に津波で流された家々は再建の計画中で、仮設住宅で暮らす人が多い。こうした中、住宅設備機器の大手製造メーカー、トスタムは特に海岸付近の住宅に向けたシェルターを開発し、発売することを決定したと発表した。
前回の大地震では、海岸付近の木造住宅は地震後30分くらいで津波に飲みこまれて、逃げ遅れた人が多かった。もし同じようなことが起こっても、何とか生き延びられるように家庭内にシェルターを内蔵することができるというものだ。
が、シェルターを新たに家屋内に据え付けるとなると、置き場所をどうするのか、新規シェルターはコストが高いのではないか、短時間で家族全員が簡単にシェルターに入ることができるのか、また、もしシェルターに入っても水や食料が一緒にないと数日も生きられないではないかという疑問が生じる。これらの疑問を一気に解決した画期的なシェルターとなる模様だ。
ズバリ、浴室をシェルター化するという。浴室の全周囲を特殊な合金でとりまき、浴室の窓と出入り口もすばやく合金の内扉で閉じられるようにする。また、シェルターに入ると同時に浴槽に水を貯めることが推奨されるが、地震を感知すると自動で浴槽に水が貯められるシステムにも出来る。浴室の床をはずすと、乾パン、懐中電灯、救急具などのサバイバル用品を貯蔵できる気密スペースがある。トスタムの実験では、このシェルターは濁流に流されてコンクリート壁にぶつかっても壊れないという。
ただし、この浴室型シェルターは1階にあるとあまり意味が無い。津波が家ごと吹き飛ばすならともかく、家の構造が残ってしまった場合、1階にはまり込んだままではシェルターが長時間にわたり水没した状態になり、空気が足りなくなるためだ。トスタムでは、このシェルター型浴室は2階に設置することを強く勧めている。
この浴槽型シェルターを内蔵することによって、海沿いの住宅で万が一、大地震が起きたとき、家族全員でシェルター内に非難し、家が流されようと隣の家が倒れ込んで来ようと、シェルターだけはプカプカ海に浮いて、数日後の救助を待つことが可能になる。シェルターの天井部には通気システムもある。浴槽に水を貯めれば重力の関係で上下ひっくり返らないだろうし、万が一ひっくり返っても内部の人間の体重移動で上下を戻せることが実験で確認されている。
このシェルター、気になるお値段の方は、新築時に内蔵すると通常の1坪型の浴室に比べて約30万円の割高になる。また、既に建築済みの住宅に新たに据え付ける場合、ないしは浴室をまるごと、このシェルターと取り換える場合には、工賃込みで約100万円になるそうだ。
投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)
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素晴らしいと思います。それに十分に現実的かと。
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