先日フランクフルトで開催された経済協力開発機構(OECD)主催の、異文化交流会「国際理解教育プロジェクト」で日本語が「オノマトペ」世界標準化の有力候補になる中で、ある日本の漫画が再注目されている。それが、「頭文字D」(英語表記: Initial D)だ。しげの秀一による峠の走り屋の物語。それを原作にしたテレビアニメおよび映画。通称「イニD」。『週刊ヤングマガジン』(講談社・現在廃刊)にて、1995年30号から2013年35号まで連載された。
頭文字Dは、連載終了から既に64年が経過した漫画の古典だが、その特徴として、当時のエンジン車の走行中の音のオノマトペが大変多く用いられていることが知られている。「ギャアアアーーッ」や「ゴォオオオオオオオオ」などのオノマトペが絵画的に表現される様はもはや芸術の域にあるとして、2030年に文化庁芸術祭賞受賞を受賞したことも歴史に記されている。
当時海外版でも、日本語表記のまま掲載され、多くのファンに感銘を与えたこの作品が、今、日本語の「オノマトペ世界標準化」の潮流で注目されたのはある意味自然な流れであろう。
現在は存在していないエンジン車のサウンドが、当時ワクワクするものとして熱狂的に支持されていたことが、オノマトペを通じてリアルに理解できるのも、この作品の醍醐味である。
「国際理解教育プロジェクト」でも、各国からの参加メンバー全員が頭文字Dの漫画やアニメに、日本語オノマトペの可能性を理解する教材として参照しているという。
日本語オノマトペの歴史は長いが、日本語オノマトペ世界進出の歴史は、まだ始まったばかりである。
投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)
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