最近、不思議な表示があるタクシーが走っているのをご存知だろうか?ボディのフロントや、サイド部分に「無口」と書いてあるのだ。これは、運転手が行き先と料金などの必要最小限度の話のみをし、それ以外の話はしないという意味の表示である。仕事などで疲れていて、運転手に話しかけられたくない人や、男性運転手に話しかけられるのがうざったいと感じる女性向けのタクシーで、最近急増している。
従来から、タクシーの運転手がやたらに話しかけてくるのが嫌だという声はあったが、何らの対策がなされてこなかった。タクシーの運転手と話をするのが好きな人もいるなど、好みが分かれていることも原因だとされている。
しかし今回の「無口タクシー」は、静かなタクシーの要望が意外に大きいという市場調査の結果に基づいて、世の中を静かにする運動を進めているNPO「静寂社会実現委員会」がどのように無口のまま接客するかについての「無口タクシー接客マニュアル」及び「無口ステッカー」を、一定額以上の寄付をした法人や個人に配布している。同委員会によると、需要が多すぎて印刷が間に合わないという。
記者は試しに街で無口タクシーに乗ってみた。道を指示しても、うなづくだけでほとんど返事がない。試しに、「今日は熱いですねえ!」と話しかけてみた。すると、「確かに。」と一言返って来たのみ。さすが無口タクシー、余計なことはしゃべらない。ちなみに無口タクシー接客マニュアル65ページによれば、たとえ客が話しかけてきたとしても、一言以上の返事はしないことになっている。
そこで、取材だと断って、運転手さんになぜ無口タクシーをやることにしたのかを聞いてみた。するとこの運転手さんいわく、「自分はもともと無口で、お客さんと話すのが苦痛で、それがコンプレックスだったんです。世の中で無口な運転手の需要があるというのは最近まで知りませんでした。それに無口タクシーにしてから成績が急上昇しました。以上です。」
テレビやインターネット、などから大量の情報が常時頭に流れ込んでくる現代、今後はタクシーだけが静寂の時間となる、のかもしれない。
投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)
※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。
訂正:「熱いですねえ」→「暑いですねえ」
コメントの書き込みにはログインが必要です。