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アンチ・アルツハイマーのワイン新発売

 11月15日、落花生の一大生産地である千葉県で落花生の渋皮を集めて作った赤ワインが発売された。醸造から5年後に発売されたもの。

 この日「ボジョレーヌーボー」発売イベントに紛れるようにしてひっそり売場に置かれた「アンチアルツ・かわだけワイン」はピーナッツを思わせるくびれたボディのボトルに入っていた。ワイン専門店「カノテカ市原店」では事前に告知しなかったものの多くの客がその奇妙なボトルに目をとめ試飲した。
 試飲後購入したAさんに購入動機を尋ねると「やや酸味が強いが漢方薬を思わせるオリエンタルな香りが後を引き、自宅でゆっくり飲みたくなりました。スモークチーズが合いそう。また燦然と輝くモンドレセレクション金賞が決め手になりました。初年度、しかも試作品段階で賞をとったなんてすごい」との答えだった。

 落花生の渋皮(薄皮)にポリフェノールが含まれていることは広く知られている。
 ポリフェノールには様々な種類があるが落花生の渋皮から抽出したポリフェノールは神経栄養因子と同様の働きをするという。他の植物から抽出したポリフェノールにはほとんど見られない独特の働きで、これは今のところ落花生の渋皮だけで確認されている。
 岐阜のある化学品メーカーの実験ではアルツハイマーの状態にあるマウスに渋皮から抽出したポリフェノールを投与したところ、投与していないマウスより記憶力が高くなることが立証されている。しかしなぜ落花生渋皮のポリフェノールだけが神経栄養因子と同様の働きをするのかは分かっていない。

 渋皮から抽出されたエキスを栄養補助食品として販売した例はあるが、ワインは初めてだという。ワインの製造・販売を手がける「千葉ピー共同組合(以下、ピー共)」では「もっと気軽におしゃれにアルツハイマー予防ができたら」と考え開発したという。
 苦労した点は「とにかく渋皮を大量に集める」「渋皮を発酵させるワイン酵母を開発する」の2点。

 渋皮集めについては大手米菓メーカーと提携、柿ピー製造の際に廃棄される渋皮をひたすらかき集めた。「ピーナッツは渋皮ごと食べましょう、と啓蒙していましたが、ワイン造りに関わるようになってからこれを後悔したこともありました。皮つき製品もあるのですが、全部皮をむいて出荷したい衝動に駆られ、落花生生産ラインに飛び込みそうになり同僚に止められたこともありました…」とピー共ワイン製造部長は渋皮集めの苦労を語った。

 酵母については本場フランスのワイン酵母をいくつも試し、独自の酵母を「業務用ぴーなっつ酵母第7号」を新たに開発した。フランスでは「ピーピー言ってるおもしろい東洋人たちがやってきた」と意外なほど歓迎され、協力を得られたという。フランスの三ツ星レストランでもごくわずかだがこのワインを飲むことができるという。

 開発後飲める状態になるまで結局5年寝かせることになった。「毎年試飲しては今年も熟成が足りないとがっかりすることを繰り返しましたが、あきらめず作り続け、ここまで熟成させました。今年ついにワインらしい味わいになり大変喜んでおります」とピー共組合長はにっこり。

 渋皮集めに限界があるため初年度は限定300本の発売。来年度分として500本が専用セラーで熟成中。
 なおピー共では「きれいに集めた渋皮500キロをご持参下さればあなただけのかわだけワインが1本だけできます」とPR中。ただし「皮集めのために落花生を食べ過ぎて鼻血が出ないように気をつけて下さい」と注意喚起もしている。

 本年度の価格はフルボトル6万8千円。モンドレセレクション品評会では「試作品を出してきたとんでもないふざけたメーカーがいる」と笑われながらも出品にこぎつけた。予想外に高い評価を得たことから、来年度からは調子に乗って値上げを予定している。

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

コメント

とりあえず、飲んでみたいですね。68000円だととても手が届かない高級品ですが・・・
これ、アルツハイマーだけじゃなくて、身体にも普通に良さそうです。
ピーナッツの渋皮についてのマウスの実験は本当でしょうか?

オラクル (日付:

2025年11月25日
ボトルのキュートさに一目ぼれ!!7万円かぁ~と思いながら・・・でもモンドセレクションだもんなぁ~と、飲んでみました!
これホントピーナツ?と思うような、ほのかな甘さ、さっぱりでもなく、独特の深味。飲んでなるほど、7万円!って思っちゃいました。
色々調べると体にも、ものすごく良いじゃないですか!
体に云々よりも、私はあのキュートなボトルに一目ぼれで買ってしまったんですが、全然後悔ないですね。飲み終わった今はインテリアになってます!

山石木綿希 (日付:

渋皮についての実験は実際行われていて何かの雑誌で読みました。

しかし、かさ高い皮をとっておく場所もかなり取りそうですね。

久野香奈 (日付:

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