書評:「知ることの不幸と幸福」(バロック・ティチェナー著)

 GTPによる幸福指数の変化を予言していたとされる本書は、「大事に飼われているペット犬は、殺処分される同族の犬たちの運命を知らなくても真に幸せと言えるか?あるいは知らないからこそ幸せなのか?」という命題から始まる。
 まずは、幸福とな何か?の定義から始めなければならないとする著者は、幸福を、心の中の主観的幸福と、外的な要因によって決まる客観的幸福、の二つの面があるとする。2つの幸福は連関はするが、原理的には別のものである。よく言う、「知らぬが仏」("ignorance is bliss")は、主観的幸福について強調した言葉だ。
 貧困な人々の苦しみを知らないから幸せなのか?知らないで自分だけ幸せなら良いと思っていたのでは本当の幸せとは言えないのか?インターネットやiOT、そしてGTPによるリアルな情報のやり取りが指数関数的に増大している今、このテーマは全ての人に切実である。
 本書は、著者の渾身の書であると言うにふさわしい内実を持っている。「知るのか?知らないのか?」という命題について、われわれはこれまでよりももっと真剣に議論すべき時代に生きている。       ★★★★☆

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

コメント

誤植修正:「幸福とな何か?」→「幸福とは何か?」

未来大陸 (日付:

コメントの書き込みにはログインが必要です。

新規記者登録 ログイン