5~6年ほど前までは聞かれた「本業」という言葉が消えつつある。今や、いくつもの職業、肩書きを持つ人が当たり前であり、むしろ1つのことしかやっていない人の方が少ない状況なのだ。
例えば現在、企業に勤めるビジネスマンは週末や夜間に別の仕事を行い収入を得ているのが普通であるが、別の仕事の方が収入が多いこともしばしばでありもはや副業とは呼べなくなっている。また、5個から10個程度の職業を持つ人も珍しくはない。1つの仕事しかない人は、一部の公務員くらいで、平均すると2~3個程度の仕事を持っている。このような中で、「本業」という言葉が死語になったのである。
この状況の背景には、ビジネスの世界に起こった、”コラボ革命”がある。さまざまなビジネスがコラボし、シナジーを起こすことで全く新たな、魅力的なビジネスが生まれてくることはこれまでも知られていたが、このことが一般の普通の人にも理解されたのが、この革命の核心だ。過去においても、名刺を持たず、様々な職業を兼任し、業界と業界をつなげることを日常茶飯事とする人々はいた(たいていは働く必要がない”あがった人たち”だったわけだが)のだが、ごく少数しか存在していなかった。
しかし、2016年に出版された「コラボ革命」(大山大人著・アルティメット出版)がベストセラーになり、様々なビジネスが融合することによって新しい付加価値を生み出す新たなビジネスが生まれることが、企業のみならず個人にとっても、生き残るためのもっとも重要なことであるという見解が一般に広まった。その影響で、様々な一見すると関係ないような職業を、意図的に兼業する人が増えてきたのである。
「コラボ革命」の著者、大山大人は言う。「MITのメディアラボ所長に、元DJの伊藤さんが就任した2012年あたりが、今につながる大きな流れの分岐点だったと思う。伊藤さんがやっていることが、様々な業界や分野をつなげて新しい価値を作り出すことであって、それはやろうと思えばある意味誰にでもできるということを自分の著作で書いた。伊藤さんは、DJ時代に音楽と音楽をつなげていたのと同じ感覚で、ビジネスの世界でDJをやっていたのだと想像したのだ。そして普通の人でも、職業もいろいろと分野をまたいで兼業することで新しい価値を生み出せる可能性が高いことを理論的に明らかにしてみた。『本業』という言葉がなくなった原因として自分の著作が挙げられるのは光栄。」と語った。
今後は、「えっと、本業は何でしたっけ?」などと人に聞くだけで、時代錯誤の扱いを受けるから、十分気をつけた方がいいだろう。
投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)
※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。
コメントの書き込みにはログインが必要です。