本書は、1967年に寺山修司が発表した評論集「書を捨てよ町へ出よう」のオマージュである。
パソコン、携帯、タブレット(Ipadなど)に続いて流行し、誰もが依存しているスマートフォンの登場によって、若者たちがよりヴァーチャルなコミュニケーションに移行し、リアルな直接体験を避けるようになったことへの警告の書である。
例えば、10分位で会える友人でも、現代ではわざわざ会いに行くのは無駄で、スマホのスカイプを使ってカメラ通話をするのが効率的と考える若者が増えていることについては、「わざわざ会いに行くことで、より短い時間で深い絆を持つことができるのであって、スマホで100時間話しても、我々人間というものは、一定以上の信頼を得ることはできないのである。」と断じている。
また、「このような希薄なコミュニケーションを何十年も続けて、最後は知り人が誰一人いない病室で、Webカメラから看取られて死ぬのか?」とあまりにも強烈なメッセージを著している。
著者吉山は、一見極論を述べているように思う。しかし、彼が述べている話はそれほど荒唐無稽とも言えない。
現代に生きる我々は、ある意味直接的なコミュニケーションによる弊害、非効率を避けてネットの世界へと跳躍した、つもりだった。
このことによって失うものの大きさに気づくにはまだまだ時間がかかるだろう。しかし気づいたときにはもう遅すぎるのかもしれないのである。
本書を読めば、ネットによるコミュニケーションとリアルでのコミュニケーションのバランスを修正することによって、災厄的な終着点を回避するためのヒントと動機を得ることができるだろう。
投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)
※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。
最後の行に、(著者吉山克幸・アルティメット出版・1300円(税抜))を追加します。
最後の行に、(著者吉山克幸・アルティメット出版・1300円(税抜))を追加します。
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