人工母胎、認める?認めない?議論沸騰

 最近話題になっている人工母胎は、ヒトの母胎を人工的に作るものである。これは、子供の生めない女性が生めるようになったり、妊娠出産の苦痛や時間、労力をなくせるようにすることが目的であるが、現在世界中でこれについて対立的な議論が巻き起こっている。

 もっとも強く反対しているのが、米国の保守的な南部の州を中心に歴史的に中絶を事実上禁止してきた地域だ。今から31年前の2019年の今日、アメリカのアラバマ州で、人工妊娠中絶をほぼ全面的に禁止する法案が成立し、全米で波紋を呼んだことは年配者であればご存知であろう。

 米国南部はバイブルベルトとも呼ばれ、信仰深い地域として知られるエリア。中絶問題から31年経った今、この同じ地域で人工母胎もまた中絶と同じく聖書の教えに反すると、早々と反対の運動が巻き起こっている。

 アラバマ州の「アラバマ人工母胎反対協議会」のイアン=ジョッシュ女史は、「神は、人間にここまでのことを許していない。人間を生めるのは人間だけであって、それ以外のマテリアルが生んだ存在を人間として認めるわけにはいかない。従って、我々は最初から人工母胎には真っ向から反対する」と述べている。

一方で、人工母胎の研究では世界のトップを走る中華民主共和国・北京大学の陳建水教授は、「妊娠は、人にとって生命を失う危険を伴うもの。出産も大きな苦痛を伴う。できればこれから解放してあげたい。また、妊娠できない女性たちにとっては、産めるか産めないかは切実な問題。人工母胎の実現は幸福を追求する権利として認めてしかるべき権利だと思う。第一、今は環境破壊によって世界中の子供たちが減少している問題がある。人工母胎はそれに対する大きな福音となる」と述べた。

 このまま人工母胎が実現し、それを合法化した国が出現するとその国への長期旅行者が増える可能性があり、そうなるとこのような重大な倫理的問題をはらむ事柄が無制限に実現してしまい、様々な社会問題※が巻き起こるだろう。是か非か? 合意は難しいかもしれないが、今のうちに法的・倫理的な事項を含む、検討を行う国際的な協議を行うことが必要だろう。

 ※人工母胎で生まれた子供が人間として扱われない危険性、人工授精と組み合わせることによって親が全く分からない子供が多数出現し人身売買の対象になるなどの危険性などが予想されている。

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

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