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超低金利で貸し、超高金利で預金利息をつける銀行が現る

 長期間の低金利政策が続く我が国、住宅ローンの最低金利は年0.5%前後、また預金利息の最高金利は年0.05%前後でここ数年間が推移している。それでも、借りる側の利子から貸す側の利息を引くと0.45%は幅がある。ここにきて、この幅は広すぎると明言して、この幅を究極に狭くしたアルティメット銀行が登場した。アルティメット銀行では今年、住宅ローンの最低金利を年0.25%、預金利息の最高金利を年0.1%で提供している。これまでの半額の利子でお金を借りることができ、倍の利息でお金を預けることができることになる。

 なぜ、このような顧客本位の銀行が誕生したのか。ズバリ、アルティメット銀行は、ほとんどの作業をネット上で済ませることで人員を削減し、また店舗数を最小にして田舎の安い立地にしか持たないことで、運営コストを減らしているという。そして、預金や貸付残高を匿名化しつつも全てオープンにすることで、アルティメット銀行の経営状態を全て公開して、銀行倒産のリスクまで顧客に見えるようにしている。

 資本金10億円、社員3人で1年前にスタートした同銀行は、今では預貯金額200億円、ローン貸付額180億円に上っており、その額や社員給与までネット上に公開されている。単純計算で、銀行側は預金者に対して年間利息を200億×0.1%=2000万円払い、住宅ローン金利として年間で180億×0.25%=4500万円を売り上げる。差し引き2500万円の売り上げ総利益から、固定費1000万円、社員給与500万円×3人を引くと経常利益は出ていない。だが、規模が10倍になったと仮定すると、2億円以上の経常利益が生じる計算であり、それは時間の問題だろう。

 同銀行の頭取(兼広報)は言う。「これまでの銀行は、固定費がかかりすぎた。顧客が銀行を訪れるのは契約の時だけだから、駅前の一等地にある必要はない。お金をおろすのも、コンビニでことたりる。社員も、何も一流大学を出たエリートにしか出来ない業務ではなく、給料も高すぎた。ネットとAIの時代には銀行はもっとスリムになるべきであり、その分を顧客への利息で還元すべきだ。」

 利息の「価格破壊」をもたらしつつあるアルティメット銀行であるが、20数年前に旅行業界の価格破壊をもたらしたHISや、10数年前に衣服の価格破壊をもたらしたユニクロなどを彷彿させる。それにしても、果たして銀行業のような信用(看板)第一の業種で、ここまで看板を無くした価格破壊が成り立つのか、あるいは逆に他の銀行も追随して価格破壊競争が生じるのか、経済界から注目が集まっている。

投稿日: 1970/01/01 09:00:01 (JST)

※本記事は、対象となっている事柄について、無限に広がる未来の可能性の中のたった1つを描いているに過ぎません。 ですから、決して記事の内容を鵜呑みにしないでください。 そして、もし本記事とは異なる未来を想像したのなら、それを別の記事として書いていただけると幸いです。 このプロセスを通じて、私たちは未来についての視野を広げ、未来の可能性を切り開いていくことができるでしょう。

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